コロナのばかやろう!4.
バスルームから鼻歌が聞こえて来た。嬉しいことでもあったのかしら、加奈子はその声を聴いて嬉しくなった。
洗い物はすぐに終わった。テーブルに座り白湯を飲みながら、ふと敷かれた布団を見て胸がドキドキして来た。
私、どうかしてるわ。嫌らしい。どうしてそんなこと考えるのかしら。生理前だからかしら。
バスルームが開いて樋口がバスタオルで拭きながら出て来た。全裸の下半身が目に入った。
見慣れているはずなのに、その形が眩しかった。瞬間的にじゅわっと身体の芯が潤った。ぽーっとしていると、
「疲れたのだろう。お風呂に入ってゆったりしておいで。先に寝てるよ」
見透かされたような気がして、
「少し疲れたみたい」
咄嗟に正気に戻って言う。
「そう思って、早いけど布団敷いたんだよ。早く風呂に入っておいで、そして身体を休めると良いよ」
樋口には別の目的があった。疲れていると聞いて加奈子に無理はさせられない。我慢するしかないのか。
そう思いながらも胸が弾むような気持ちだ。初めて加奈子と接した時がそうだった。愛を形に出来る。したい。
忘れていた2年前のことが思い出された。初めて加奈子の中に入った時の感激が蘇って来た。
気持ちとは裏腹に下半身が昴まって来た。それは完全な形になった。疲れた加奈子のことを思いすぐに反省した。
加奈子を思いやる気持ちは無いのか、お前は自分の欲望しか考えていない。情けない男だと思い気持ちを静めた。
「良い湯だったわ。身体が伸び伸びしたわよ。私、こっちで良いの?」
加奈子がバスタオルを身体に巻いて、右側に膝まずいている。いつの間にかうとうとしてしまったようだ。
「うん」
と返事をして右手で掛布団を捲った。加奈子はバスタオルのまま入って来た。驚いた。素っ裸だった。
「あっためて」
と抱きついて来た。ぷーんと石鹸の匂いがする。柔らかい胸が手に当たる。
「疲れてるだろう。無理しなくても良いよ」
「お風呂に入ったら元気になっちゃった。抱いて」
樋口は嬉しくなって、加奈子を仰向けにして上に乗った。たっぷりとした乳房を両手でつかみ乳首を吸った。
交互に吸っていたが、乳房を一つに寄せ同時に両乳首を吸った。加奈子は心地良い痛さと痺れるような刺激に身体をひねった。
それを躱すように樋口の口は加奈子の秘所に吸い付いていた。下から上へと吸いながら舐める。何度も繰り返す。
加奈子の意志に関係なくそこはじゅくじゅくと溢れ出した。思わず樋口の頭を両手で押さえてしまった。
何とかして、お願い、何とかして、加奈子は無意識に頭を振って身悶えていた。
樋口も堪えることは限界だった。これでもかと言うように怒張した股間を前に出した。そのままずるっと入った。
加奈子はひっと声を上げた。樋口はぬめり絡みつくような肉壁に確認でもするかのようにゆっくり出し入れする。
しかし、それはすぐに限界が来た。股間の奥が込みあがって来た。突然、樋口は激しく上下に動き始めた。
「良いの、出して!そのまま出して!」
加奈子が叫ぶように言う。それを聞いた樋口は一段と猛烈に上下する。ぐんと奥に突き刺さるように入って来た。
加奈子の身体の奥底に温もりが広がった。同時に頭の奥に花が咲いたようだった。そのまま意識を無くした。
樋口は気付かずにいた。しばらくそのままでいた。どうしたのだろう。加奈子の中でそれは復活を始めた。
自分にこんな元気が残っていたなんて。若い頃以来だ。ゆっくり動き始めた。
加奈子が薄目を開けた。身体はだらりと伸ばしたままだったが、下半身の心地良さに目が覚めた。
そこは樋口の精液に溢れてぴちゃぴちゃと音を立てた。二度目の行為は長かった。それでも、再び射精した。
樋口は加奈子を労わるように、
「子供が出来るかもね」
樋口が言うと。
「生理がもうすぐ始まるの」
「なんだ、そう言う事か。でもね、子供作ろうよ。僕達夫婦なんだよ」
「私も欲しいの。嬉しい!」
「よし、これから避妊なしだ。頑張ろう」
「はい!」
加奈子は身も心も幸せいっぱいだった。しかし、それは続かなかった。
年が明けて1月の末に近い時、樋口に転勤が発令された。コロナによる人員整理に基づいていた。
つづく
次回は1月15日金曜日朝10時に掲載します